田中修

十分に成長できる環境が整わない限りは、うかつに芽を出さない。暑さ寒さをタネの姿で何百年も耐える。いざ芽生えたら、全体に光が当たるように、群落の端は背が低く、真ん中は背が高くなる。よりよい花粉を運んでもらえるように、色や香りの魅力を磨いて熱心な婚活を展開。同じ株の花粉では受粉しない。子孫を残したら、自ら潔く散る――どんな逆境でも与えられた命を生ききるための、驚くべきメカニズム。植物たちのあっぱれな一生。 植物は動き回わらないから下等」というのは、短絡的な考え方ですね。動かないのは、その必要がないからです。 植物の進化をごく簡単に言えば、「いかに水との縁を断ち切って生きられるか」ということに尽きます。水との縁を断ち切ることが進化という見方もできます。